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面会交流と強制執行

2017/10/26

法的に意味のある面会交流についての取り決め方

協議離婚や調停離婚等において、面会交流の取り決めをする場合、「月1回程度、面会交流することを認める。その具体的な日時、場所、方法等は、子の福祉を尊重し、当事者間で協議して定める。」というような決め方をするのが最も一般的であるといえます。しかしながら、日時や場所等を具体的に特定しない趣旨は、条件の変更等について柔軟に対応できることを前提にしています。

したがって、離婚後は一切相手方に連絡を取ることが期待できない場合や、離婚後は子供に会わせてもらえない可能性が相当程度高い場合には、日時、頻度、引渡しの場所や方法等を具体的に離婚協議書等に記載しておいた方がよい場合もあります。

過去の裁判例においても、裁判の前の調停や審判において決定された内容に応じて、その後の裁判で強制執行(間接強制)が認められた事例と認められなかった事例があります。どのような内容であれば強制執行が認められ、どのような内容であれば強制執行が認められなかったのか、その内容を下記で見ていきます。

  • 間接強制とは?

    強制執行には、直接強制と間接強制があります。面会交流における直接的な実現方法には、監護親の元から非監護親の元へ子供を連れてくることが当てはまりますが、現実的にそのようなことを強制することはできません。

    したがって、非監護親と子供を会わせないようにしている監護親に対して一定の金銭負担義務を課すという心理的プレッシャーを与えて、間接的に面会交流を実現させようという手段をとることをいいます。

1.最高裁判例 (平成24(許)48) 平成25年3月28日決定

この判例は、面会交流することを定める審判に基づいて、間接強制の決定がされた事例であります。間接強制の決定がされるかどうかは、その前の調停や審判の際にどのような取り決めがなされたかということが係わってきますが、審判の際には下記のような取り決めがなされておりました。

  1. 面会交流の日程等について、月1回、毎月第2土曜日の午前10時から午後4時までとし、場所は、長女の福祉を考慮して相手方自宅以外の相手方が定めた場所とすること
  2. 面会交流の方法として、長女の受渡場所は、抗告人自宅以外の場所とし、当事者間で協議して定めるが、協議が調わないときは、JR甲駅東口改札付近とすること、抗告人は、面会交流開始時に、受渡場所において長女を相手方に引き渡し、相手方は、面会交流終了時に、受渡場所において長女を抗告人に引き渡すこと、抗告人は、長女を引き渡す場面のほかは、相手方と長女の面会交流には立ち会わないこと
  3. 長女の病気などやむを得ない事情により上記①の日程で面会交流を実施できない場合は、相手方と抗告人は、長女の福祉を考慮して代替日を決めること
  4. 抗告人は、相手方が長女の入学式、卒業式、運動会等の学校行事(父兄参観日を除く。)に参列することを妨げてはならないこと
  5. ※相手方:父、抗告人:母(監護親)
    ※参照 裁判所HP

間接強制できるかどうかは、調停等において、面会交流の日時または頻度、各回の面会交流時間の長さ、子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど、監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえることが必要とのことです。

上記審判に基づいて間接強制の決定がされたということは、上記のような取り決め内容であれば、「面会交流の日時または頻度、各回の面会交流時間の長さ、子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど、監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえる」ということでしょうね。

2.最高裁判例 (平成24(許)47) 平成25年3月28日決定

この判例は、面会交流をすることを定める調停調書に基づき間接強制決定をすることができないとされた事例であります。その調停では下記のような取り決めがされておりました。

  1. 相手方は、抗告人に対し、長男と、2箇月に1回程度、原則として第3土曜日の翌日に、半日程度(原則として午前11時から午後5時まで)面接をすることを認める。ただし、最初は1時間程度から始めることとし、長男の様子を見ながら徐々に時間を延ばすこととする。
  2. 相手方は、前項に定める面接の開始時にa県b市のc通りの喫茶店の前で長男を抗告人に会わせ、抗告人は終了時間に同場所において長男を相手方に引き渡すことを当面の原則とする。ただし、面接交渉の具体的な日時、場所、方法等は、子の福祉に慎重に配慮して、抗告人と相手方間で協議して定める。
  3. 抗告人と相手方は、上記アに基づく1回目の面接交渉を、平成22年1月末日までに行うこととする。
  4. 抗告人と相手方は、二男については、将来的に長男と同様の面接交渉ができるようになることを目標にして、面接交渉の是非、方法等について協議する。なお、この協議は、本調停成立日の1年後を目安として始め、その後は二男の成長に配慮しながら適宜行い、双方は、二男の面接交渉の開始に向けて真摯に協力することとする。
  5. ※相手方:母(監護親)、抗告人:父
    ※参照 裁判所HP

上記のような取り決めでは、面会交流の日時または頻度、各回の面会交流時間の長さ、子の引渡しの方法等が具体的に定められているとはいえないということです。それについて、裁判所は下記のように記しております。

  • 本件調停条項1.は、面会交流の頻度について「2箇月に1回程度」とし、各回の面会交流時間の長さも、「半日程度(原則として午前11時から午後5時まで)」としつつも、「最初は1時間程度から始めることとし、長男の様子を見ながら徐々に時間を延ばすこととする。」とするなど、それらを必ずしも特定していない
  • 本件調停条項2.において、「面接交渉の具体的な日時、場所、方法等は、子の福祉に慎重に配慮して、抗告人と相手方間で協議して定める。」としていることにも照らすと、本件調停調書は、抗告人と長男との面会交流の大枠を定め、その具体的な内容は、抗告人と相手方との協議で定めることを予定しているものといえる

3.最高裁判例 (平成24(許)41) 平成25年3月28日決定

この判例は、監護親に対し、非監護親が子と面会交流することを許さなければならないと命ずる審判に基づいて行った間接強制の申し立てが認められなかった事例です。この審判においては次のような取り決めがされておりました。

  1. 相手方に対し、抗告人と長男及び二男が、1箇月に2回、土曜日又は日曜日に、1回につき6時間面会交流をすることを許さなければならない
  2. ※相手方:母(監護親)、抗告人:父
    ※参照 裁判所HP

上記の取り決めのみでは、間接強制の決定を求める申し立ては認められないというものでしたが、裁判所の言い分は下記のようなものでした。

  • 1箇月に2回、土曜日又は日曜日に面会交流をするものとし、また、1回につき6時間面会交流をするとして、面会交流の頻度や各回の面会交流時間の長さは定められているといえるものの、長男及び二男の引渡しの方法については何ら定められてはいない。そうすると、本件審判においては、相手方がすべき給付が十分に特定されているとはいえないから、本件審判に基づき間接強制決定をすることはできない。

まとめ

面会交流を行う場合、子の利益が最も優先して考慮されるべきであり、面会交流は柔軟に対応することができる条項に基づいて、各当事者の協力のもとで実施されることが望ましいとするのが裁判所の基本的な見解です。

そのようなこともあり、実際の離婚現場においても、面会交流については「月1回程度、面会交流することを認める。その具体的な日時、場所、方法等は、子の福祉を尊重し、当事者間で協議して定める。」というような決め方をするのが最も一般的となっております。

しかし、そのような取り決め内容ですと、上で見た裁判例でもあるように、ほとんど法的効力の無いような取り決め内容となってしまいます。

したがって、最初に述べたように、離婚後は一切相手方に連絡を取ることが期待できない場合や、離婚後は子供に会わせてもらえない可能性が相当程度高い場合には、当事者や我々行政書士等が作成する離婚協議書のような私文書においても、日時、頻度、引渡しの場所や方法等を具体的に記載しておいた方が良いといえるでしょう。

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